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○○分までに、あの駅を通過しよう。○○時までには自宅に帰り着かなくてはならない。などと考えている時は脳裡も視野もせまくなる。息を吐きながら、まっすぐ前だけを向いて歩く。左右の風景にはあまり関心を示さない。顔なじみになったオジンが手をあげて笑顔を向けてくれても、ちらと視線を向け軽く手を上げるだけである。
交差点で信号待ちしている間でも、信号がいつ変わるかと、左右の信号ばかり見ている。青信号になった。同時に横断歩道を渡ろうとすると左折する車が急に現れて目の前を通りすぎる。危ないじゃないかとつぶやく。大きな声を出しても車は遠くへ走り去っている。
気をとりなおして並木路を行く。秋は銀杏で黄色に染まる世界だ。並木通りの道幅は約4メートルから10メートル。広い舗道だと気分はよい。ただしベンチで一休みするグループのおばさん達が大きな声でおしゃべりをしている。
朝は空気が澄んでいるので周辺のマンションには、よく聞こえるのだろうなどと考える時は、時間に余裕がある時である。
いつもより、きょうは10分早く自宅を出た。ほんの少し早く出て時間に余裕があると気持ちも余裕が出る。心に余裕が出ると遠くの風景もはっきり見える。左右の風景も眺めることができる。その中で不思議な施設を見ることがあった。正確にいうと前から何度か発見していた。必ずマンションと公園が背景にある。
それは駐車場跡に無造作に積んであるコンテナである。積んであるといっても波止場や貨物列車に積むよう本格的なコンテナである。なぜか整然と配置されていない。こんなもの利用する人がいるのだろうかと馬鹿にしていたが、1年間のうちに点々と、その置き場が増えているのに驚いた。1か所には六つか八つ。まっすぐでなく、わざとずらして置いてある。それがレンタル・ボックスだとわかるのは、道沿いの一角に小さな看板がでているからである。このあたりは国道沿い。私鉄の駅は歩いて30分。交通不便な住宅街である。
レンタル・ボックスといえば大抵は駅の構内かその周辺に設けているものである。いわば一時預かり。その点、こんな不便な場所のレンタル・スペースで一時預けなど、ひんぱんな利用者がいるはずもない。とすればこのコンテナは明らかに長期用のレンタル・ボックスである。1年前は1か月8千円だったところが最近は9千500円となっているから客はある。ということだ。場所柄、住宅街に顧客がいる。と思われる。それとも遠くから車で運んでくるものがあるのだろうか。コンテナの中はどうなっているかわからない。金額からするといくつかに仕切られているに違いない。空き地のコンテナというだけでも寒々しいが、一体その中には、どんなものを置いておくのだろう。考えると、あらぬ空想がふくらんでくる。
続く |