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NHKの功罪 7
坂本会長3選の動きもあったが、これはご本人が辞退した。しかし疑惑の渦中にある外郭団体から川原正人氏を登用できたことは、明らかにUNNラインの勝利であった。外郭団体はともかく、この人事闘争で浮上したのが「経営委員会委員は他の情報媒体を兼務できない」放送法第6条である。
会長選の最中、経営委員会委員の高橋武彦氏(毎日新OB)が自衛隊の機関紙「朝雲新聞社」の取締役であるとこが問題になった。これは電話1本で取締役を辞退してケリがついたものの誰かがもらしたことは明白である。怪文書という形でもっともらしく宣伝されていた。それにしても朝日、読売、毎日などの新聞社OBが経営委員になることは不自然だ。チェック機能を果たしていないからである。新聞がNHKに甘いのはこうした背景があるからなのではないだろうか。NHK批判は、経営委員会とは無縁な新聞社や週刊誌が急先鋒であることをみれば、さもありなんと思わざるを得ないのである。
川原会長体制がスタートした時、NHK長期ビジョン審議会の調査報告書で慢性的な赤字構造の説明が行われた。NHKは昭和33年以来、長期計画という名目でぼう大な設備投資を重ねた。その中で特に目立つのは、昭和37年から6年間に投じた1千115億円である。最大の使途は、地上23階、地下1階の本館ビル、4千人収容の大ホール建設であった。当初は1万人収容の大ホール構想があったというから驚く。NHKの公開番組会場は地方の市民ホールなどが多いのだ。「半分はムダ」といわれるNHKの施設には、あまり知られていない浪費の残骸がある。その一つがコンピュータ設備の購入。
NHKは昭和43年に「番組技術システム」を導入した。これはスタジオ使用、機材の手配、人員スケジュールまで、コンピュータで処理する。IBMとの共同作業で、世界でも類のないコンピュータ・システムといわれた。
ところがNHK労組、日放労の猛烈な反発を招いた。その結果、システムは大幅に修正され、断行した当時の前田義徳会長は辞任に追い込まれた。専務理事だった松浦隼雄氏は、日本IBMへ再就職した。「IBMに儲けさせた実績がものをいったのだ」という噂が流れた。
余談になるが、IBMは、この時の技術をアメリカの3大ネットワークや、イギリスのBBCに売り込んで失敗したといわれる。そのIBMだが、FBIを使って、おとり捜査を行い、日立、三菱の産業スパイをとらえた事件がある。そのIBMが共同開発したNHKのソフトを勝手に他国へ売り込んだ。NHKは昭和47年に5億4千万円、昭和48年に9億5千6百万円、昭和49年に40億4千8百万円、昭和50年には179億7千万円の、赤字を出していた。その結果、NHKは昭和50年1月、カラーテレビ受信料、白黒テレビ受信料の大幅アップ案を国会に提出していたのである。
(続く)
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