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【投稿連載】

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(2)笑えないぞ!その34『喜劇が消えてゆく(13)』

by イジワル・ジイサン
林家三平
平成17年10月。知人の招待で新宿のコマ劇場へ行った。それはコロッケ主演の「笑われたかった男〜林家三平物語」であった。戦後の落語家で最も観客を楽しませた芸人という意味でも林家三平の右に出る者はいない。たえず新境地に挑戦するコロッケが演じるとあって「ああ、コロッケなら林家三平に似るかも知れない」という期待感はあった。期待はしたがB級だと思った。

観客を3時間以上ひきつけるのは並大抵ではない。それにしても脇役が赤木春恵、萩原流行、熊谷真実、ルー大柴とはすごい。よくぞこういうベテラン俳優を脇に構えたものだと感心し座長コロッケの力量を垣間見た。コロッケがいかにものまねの天才だとしても舞台俳優ではない。歌手でもない。それが堂々と新宿コマ劇場で1か月近く座長公演するというのは瞠目すべき出来事であるとイジワルな観察をしたものである。

なのに見終わった私は感動していた。半円形の舞台。2088の客席。そこで観たものは期待をはるかに超える出来ばえであった。まぎれもなく林家三平が再来していた。落語界の実態をのぞかせる勇気あるストーリーもあった。脚本、芸、演出、観客を楽しませるダンスショー。まことにそつがない。最後の臨終場面は暗いのでやめてほうがよいと思ったが賛否の分かれるところだろう。ともかく「これで林家三平役はコロッケしかいない」と思い込むようになった。

ところが、である。翌平成18年8月20日。テレビ東京でドラマ「昭和の爆笑王・林家三平ものがたり」が放映された。その主役は何と山口達也であった。ジャニーズ事務所TOKIOのメンバーである。パワーが売り物でホームドラマなどに出演している。あまりにも違和感があった。落語や漫談の場面ではコロッケの足許にも及ばなかった。熱演すればするほど笑えない。なぜテレビドラマでもコロッケを起用しなかったのか不思議だった。芸人をモデルにしたドラマをつくるのに、こんな素人をと思った。

笑いの名人芸は簡単にマネできるものではない。コロッケは個性が強すぎる。実在の人物を演じる役者は透明感が必要だ。など理由はほかにもあるだろう。しかし仮にコロッケがテレビで演じるとなればアクを抜いて立派に演じることができるに違いなかった。

平成19年1月〜2月、新宿コマ劇場でコロッケ一座による「新春喜劇公演/俺はお殿さま・コロッケONステージ」がおこなわれた。座長公演は5回目だ。ほかに志村けん一座が平成18年4月、東京芸術劇場で旗揚げ公演した。平成19年秋には喜劇映画「やじきた道中」(中村勘三郎、柄本明、小泉今日子)が公開される。いずれも絶滅寸前となった「喜劇」を看板にしている。頑張れ!



(続く)




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