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【投稿連載】

問い質す!憤懣やる方ない、この怒り。

 
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(2)笑えないぞ!その18 『シニアで愛してC』

by イジワル・ジイサン
中高年シニア恋愛イメージ

高齢者の性に関する事件もあった。昭和55年2月、茨城県結城市七五三場(しめば)の社会福祉法人・芳香会経営の特別擁護老人ホーム・青嵐荘で、米本権(75)が、親密だった八木イシさん(78)を果物ナイフで刺殺した。

イシさんは昭和46年、夫の正次さんと共に青嵐荘に入居した。しかし夫の正次さんは体調が悪く同じ敷地内にある別棟の「寝たきり専用ホーム」に移り昭和54年7月に他界した。いっぽう米本権は福島県出身で離婚暦は4回。東京で土木作業員などをしていたが
次第に体力が弱くなり昭和50年に青嵐荘入りした。米本は無口で大人しい性格、1日中盆栽や菊づくりに精を出していた。

そして寝たきりになった正次さんの妻イシさんと親しくなる。回りの人達には公然の親密ぶりをみせた。イシさんの行動はかなり積極的だ。たとえば買い物へ一緒に出かける。3人の独身男性が寝起きする部屋へ米本を訪ねる。同ホーム内の食堂などでもピッタリ寄り添う。イシさんは明るく、おしゃべり好き。強いていえば、わがままなところがあったという。だから正次さんが他界して1年後、ホームの経営者は「夫婦になれば」と助言した。陰で夫婦同然であることは事実である。ところがイシさんの口から思わぬ答えがかえってきた。「この年で、世間体が悪い」と同居をこばんだのである。

今度はその米本が体調を悪くした。するとイシさんは新たに仲良くなった男性(96)と妹(87)の兄妹部屋へひんぱんに通うようになっていたし、他の男性とつきあいをはじめるようになった。それだけなら、まだよかった。なんとイシさんは米本の悪口をいいふらすようになった。

「米本さん。イシさんは、あんたの悪口をいいふらしているよ」と告げ口する者がいて二人の仲は険悪になる。それでも米本は、まだ仲直りしようと事件の2日前、イシさんに羊かんとセンベイをプレゼントした。イシさんは受け取ったが、冷たくあしらった。翌日、同ホームの生活指導員立会いのもとで「きっぱり別れよう。そのかわり、オレの悪口はいわないでくれ」と念を押した。
 
事件当日、米本はコップ酒をあおり、酔ってイシさんの相部屋を訪れ「これから川崎の長男のところに行く。その、みやげに持って行くから、2日前やった羊かんとセンベイを返してくれ!」と頼んだ。イシさんは「ふん。お菓子くらいケチケチしないでよ」といいかえす。米本は怒りを抑えて自分の部屋へ戻る。そのあと今度はイシさんが米本の部屋を訪れた。菓子を返すために来たのだが、これが悲劇の引き金になった。「量が減っているぞ」と米本は爆発、近くにあった果物ナイフで、イシさんを刺し殺してしまったのである。
この事件は多様な反響を呼んだ。老人ホームのフリーセックスも露呈した。そのエネルギーのすさまじさに驚きの声もある。人間の寂しさやエゴが垣間見えた出来事であった。


(続く)




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