49.NHKの功罪-13
By イジワル・ジイサン さん
NHKには、多くの国民に知られざる功績がある。当時、NHKではニュー・メディア・システムの研究がすすめられていた。(研究所)現代ではすでに普及したものが多いが、昭和50年代で次世代の媒体研究がNHKで行なわれていたという観点で見ると面白い。政府にとっては中長期的な景気対策であり、他の民間企業にとっても見逃せない情報がある宝の山。中身はこうだ。
- 緊急警報装置/ラジオ放送、テレビ放送にコード信号を取り付け、深夜など受信していない時でも自動的にスイッチが入り大規模地震の予知情報や津波情報などを伝達する。
- 交通情報放送/緊急警報放送と同じ方法で交通情報を伝達する。
- 文字放送/ニュース、天気予報、スポーツの結果など、文字と簡単な図形で構成された多数の情報をテレビ放送の電波のすき間を利用して伝達する。受信者は従来のテレビにアダプターを取り付け、ボタンを押すだけで必要な情報を画面に映し出し、それを紙にプリントできるようにする。
- ファクシミリ放送/ずばり、プリントしたものを電送する。そのための立体記録紙も開発した。この場合、ブラウン管には表示できない。
- その他、静止画放送、高中度音声放送、パッケージメディアの活用など。実験を重ね、想定した課題にも取り組んだ。想定した課題とは、それぞれのニューメディアに対する利用者(受信者)の負担軽減であった。たとえば家庭用の安価な受信機の開発が必要になってくる。技術基準統一など電子工業業界や民放との調整、放送法、電波法などの改正、あらゆる面の検討からはじめていた。
この中で最も注目されたのが電波のすき間を利用する文字多重放送である。NHKはその実験を重ね、技術的にはヤマ場を越えていた。文字多重放送では、イギリスのBBCが1976年に。IBMは1981年から放送を開始していた。内容は、ニュース、スポーツ、買い物情報。聾唖者向け放送もはじめている。
フランスではテレビ電気通信共同センターが1979年から本放送を開始していた。西ドイツの放送連盟、第2テレビジョン放送、ドイツ出版協会は1980年から実験放送に入っている。アメリカは、PBS(公共放送サービス)とABC、NBCが、民間非営利活動NPO法人のNCI、全米キャプショニング機構の協力を得て、聾唖者向け字幕放送を実施した。ユタ州の独立局KSL・TV、CBSなどが、イギリスやフランスの技術を導入して実験放送を開始していた。
日本、つまりNHKでは、パターン方式が重視された。パターン方式は、漢字など複雑な書体、精密な図形を容易に電送できる。受信者の処理も簡単で比較的安いデジタルメモリーが使用できる。コード方式はその10倍の情報を送信できるが、受信者の負担が多くなるというものであった。
