|
|
||||
| |中高年シニアの健康管理室|投稿| | |||||
![]() |
![]() |
事件は多い。とくに閉鎖的な老人ホームの内部では、外部からはうかがい知れない世界がある。それが表沙汰になり、実態が見えてくることもある。
昭和56年6月8日、東京でも、こんな事件が発生している。(登場人物は仮名)都立板橋老人ホームで、嫉妬に狂った68歳の男性が70歳の妻を、やはり果物ナイフで刺し殺した。この二人は事件の起こる半年前、正式に結婚したばかりであった。
お互いに身寄りは一切なく、昭和52年暮れと53年はじめに、それぞれ社会福祉事務所の世話により、杉並区内にある社会福祉法人「浴風園」へ入った。二人は親密になり、昭和56年1月22日、園内のあたたかいまなざしの中で披露宴まで開くことになる。浴風園は、夫婦専用の部屋がない。二人は2月はじめ、都立東村山老人ホームへ引越した。そこには6畳1間しかなかったが、台所もついていた。
結婚当初は誠に仲睦まじくすごした。夫の山川義男は、思い込みと嫉妬心が強かった。妻・明子さんは小柄で愛嬌があり誰にも好かれる社交性があった。70歳になってもモテる女性がいるのは、めずらしい話ではない。
問題は夫の性格であった。その姿を見て夫の義男は連日ヤキモチを焼いた。それが連日の口論になった。じつは山田義男は10年前、凶暴性アルコール中毒で井の頭の精神病院に入院していたことがある。結婚する時、施設で前歴を話すことはない。あまりにも騒々しいので東村山老人ホームでは検査設備のある板橋ホームへ再び帰してしまった。板橋では夫婦部屋がないから、また前に戻って男女別の4人部屋に入る。しかし廊下や食堂で顔を合わせるごとに「浮気しているだろう」「あいつと怪しい」とくりかえし、いい加減、面倒くさくなった明子さんは次第に口をきかなくなった。
そして、ある日。山川義男は明子さんへ襲いかかって馬乗りになり、果物ナイフでメッタ刺ししたのである。周囲は騒然となり、呆然と立ちつくしているところを逮捕された。
この事件を報道した週刊誌は「そんな暴力をふるうエネルギーがあったら、老人ホームに入らず、働いたらどうだ」と論評した。
茨城県と同じく、年下男が再婚した妻を殺すという、こうしたケースに共通しているのは、お互いにわがままなところである。どんな境遇になっても、生来の勝手な気性は治らない。
高齢者は、精気もなく、体力もなく、悟りだけがある、と思ったら間違いである。いくら歳をとっていても、性格や欲望に変わりはないから、安直に結婚させないことだ。
結婚は家族を守るという意識と責任を持つことであり道具を与えることではない。仲がいいというだけで接近させるのは、若い職員の余計なおせっかいだといっておこう。
All rights reserved. copyright (c) A-Priori 2004〜2011