中高年シニア向け連載小説 消えた風太郎イメージ

18.宿命的な出会い

11/11/20
by 夢太郎 さん

喧嘩風太郎たちが収容されていた浮浪児の収容施設は育成園と言う神戸の街から六甲山を超えた三田市にあった、当時はまだまだ田舎で収容されていた子供の数も600人をゆうに越えていた、

学園の敷地は800ヘクタール程あり建物の外は広大な畑があった、その畑に施設の子供たちが穀物や野菜を自分たちの食糧として栽培していたのだ、当時どの収容所もこういった食糧の調達の仕方が一般的であったのだが現在でもその名残りが残った孤児院がある、

当時20人から30人程度の各グループに別れていてそのグループのリーダーに例の中井雄太がいた、風太郎もそのグループにいたのである、時々他のグループと食い物のことで喧嘩になったりしたものだがそれらを仕切っていたのも中井雄太だった、

ある時風太郎は他のグループにちょっとした言葉のやりとりでトラブルになった時相手のリーダーの少年に危うくナイフで刺されそうになり風太郎の仲間が呼びに行ったのだろう、 間一発中井雄太が駆けつけて相手のナイフを叩き落としたものだ、

あるとき相変わらず中井たちと施設を抜け出して風太郎はあの人物と宿命的な出会いを果たすことになったのである風太郎は駅のベンチで男と女が酔って眠り込んでいたのをさっきから様子をうかがっていたのだ、

男の後ろから内ポケットに手を入れた瞬間 力いっぱい手を掴まれ地面にたたきつけられた、「小僧 いい度胸してるじゃないか俺の金を盗るとは」風太郎は観念して男の顔を見上げるとあっと思った、

それはあの夜我が家に押し入った強盗の男ではないか、しばらく恐怖で震えていたが「小僧、許してやるから俺の手下になれ」と男は不敵な顔で風太郎の頭をつついて言った、それ以来男と女そして風太郎の奇妙な泥棒生活が始まったのである。

 

(続く)

※写真はイメージです。


 

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