洗濯物などの荷物を病室に置き、食堂兼娯楽室にいる伯母のところへ行くと、「さぁ、お部屋へ行こう」と言います。じっとして、私が車椅子を押すのを待っているのです。
車椅子を乗りこなすことも、リハビリです。車椅子を自由に扱えないと、病院でも不便ですし、自宅に帰っても生活できないのです。病院側からも、しっかり練習するように言われています。
私は、「リハビリよ。ブレーキを外して。はい、バックして。・・・」と、手は出さないで、声掛けで応援です。しかし、分からないように、車椅子の後ろを押したり、向きを調整したりします。84歳の高齢者が、右手・右足だけで車椅子を自由に扱うには、時間が掛かると思います。
でも、毎日、廊下を半身麻痺の人たちが、杖や車椅子で、行ったり来たりしてリハビリに励んでいる姿を見ると、情けなく思います。口では「頑張る」と言い、涙を流すのに、車椅子にぼーと座っているだけです。声をかけると、動き出しますが、しばらくすると、動かなくなるのです。
他の患者さんたちは、子供や孫たちと暮らすのを楽しみに、リハビリに頑張っておられるようでした。伯母には、そのような楽しみはありません。たとえ快復して家に帰っても、一人暮らしです。分かっている現実なのですが、体が無意識に動かないのかもしれません。リハビリにも「家族との暮らし」という薬が必要だったのかもしれません。 |