伯母の病室に行くには、エレベーターを利用しなくてはいけません。車椅子の患者さんが多いので、ドアの開閉・昇降には、時間をかけているので、急いでいる時は、階段を使用したいのです。2階なので、階段で行くほうが早いのです。しかし、階段は患者たちの転落を防ぐため、使用禁止です。職員の方々は、使用できますが。
エレベーターのドアが開くと、食堂兼娯楽室があります。車椅子に乗った患者さんたちが、テレビを観たり、話をしたり、皆さんの食事用のエプロンをたたんだり、絵を描いたり、ボーとしていたりなどされています。ナースステーイションから、丸見えなので、家族としても安心です。
エレベーターのドアが開くと、伯母と目が合うのです。すると、「ここにいるよ」と、右腕を高々と上げて、私に教えるのです。そして、荷物をたくさん持っているのを、見ているはずなのに、「お部屋に行こう」と、車椅子を押せと言わんばかりなのです。
荷物を見せて、病室に置いてから、迎えに来ることを、説明しなければなりません。理解力が、少々劣っているようで、見ただけで判断する能力がないのです。
私も、頭では病気だと分かっていますが、伯母のそういう状態を、訪問の度に見ると、だんだんと、「いいかげんに、してよ。」と思うようになってきました。目が合わないように、エレベーターは下を向いて乗り、2階に着いたら、下を向いたまま病室に行くようにしたこともありました。
伯母は、エレベーターのドアが開く度、自分の見舞い客であるように、願っていたのかもしれません。だから、ドアが開く度、顔がそちらに無意識に向いていたのかもしれません。子供返りして、さびしかったのかもしれません。
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