ぶたい制作日記 2005年7月14日(木)

「新たなる期待」

舞台「好色一代女」の台本がインクの匂いをプンプンさせながら、つい今しがた印刷所から上がって参りました。

名舞台となる為の条件その1・・・即ち優れた脚本。生まれたてのこの本こそ、演劇史に新たにその名を残すものとなるかもしれません。


さて本公演「好色一代女」は、これまでにも何度かお話を致しましたが、注目すべき事柄、小生から申せばセールスポイントが目白押しでございます。

原作の持つ優美で妖艶な元禄時代の雰囲気をそのままに、齋藤雅文氏によって見事に集約・再生された脚本は言わずもがな・・・。キャスティングの豪華さや、その調和(あるいは融合)を想像することに疑問を抱きたくなるほど個性的なスタッフの顔ぶれなど。これら全てのコンビネーションの“妙”がこの作品の魅力となっているのでございます。

ところで、皆さまの中で今月歌舞伎座で上演されている「NINAGAWA十二夜」をご覧になった方はいらっしゃいますでしょうか?「あの蜷川幸雄がいよいよ歌舞伎座に進出!」ということで演劇界では大変な話題になったあの舞台でございます。先だっても民放のTV番組「情熱大陸」で歌舞伎座デビューを果たす演出家の蜷川さんを2ヶ月に亘って追いかけたドキュメントが放送されていました。舞台はまだでも、こちらをご覧になった方はきっと多いのではないでしょうか。

今や我が国に於いて他の追随を許さない第一人者である蜷川さんの演出もさることながら、人間国宝・尾上菊五郎を筆頭に長男・菊之助を中心とした当代きっての歌舞伎役者が顔を揃えた菊五郎劇団が、300年という時間を掛けて創り上げた歌舞伎の様式美と台詞術(せりふまわし)によって、どうシェイクスピアを演じるかということに小生も興味津々、野次馬根性も手伝って大いに関心を寄せていたのでございますが、つい先日、中根プロデューサーと共に観て参りました。えっつ、感想ですか?一言で云えば“実に心地よい”舞台でした。近頃、「昔の舞台(演出)の焼き直し」が囁かれるようになった蜷川作品も、今回ばかりは本物の芸を身に着けた役者達の技量に支えられ、実に見応えのある質の高い作品になっておりました。

そして、そして、小生が何よりも感動したのが麻阿(原作ではマライアという女性)を演じていた市川亀治郎の上手さでありました。シェイクスピアが描いた喜劇の中で最もポピュラーなこの作品に於いて、上品に、美しく、観客の自然な笑いを引き出し、休憩中のロビーで観客同士の話題の一番に挙がっていたのが彼でありました(決して嘘ではありません)。勿論、菊之助も良い、見事です。しかし、この作品に関して云えば3枚目を見事に演じた亀治郎の技量をまずは称えるべきではないでしょうか。(ちょっと贔屓目かもしれませんが・・・)

何はともあれ、もし叶うことなら、どうぞ皆さまもこの舞台をご覧下さいませ。小生の言っていることをきっと理解して頂けるに違いありません。

1等席=14,700円分以上の満足を得た中根と小生、こんな会話をしながら幕の跳ねた歌舞伎座を後にしたのでございます。「亀ちゃんの腕(技量)があれ程とは驚いたね」「こりゃ、いよいよ好色一代女が楽しみだ」と。

ねえ皆さま、巷間では「芝居のチケットは何であんなに高いんだ」なんて、よく言われますでしょ?それもまあご尤もな話・・・。映画は舞台と比較すると安いですものね。でも、中にはこうして充分“元の取れる”舞台だってあるのでございますョ。たまにはこうして幸福な時間をお金で買って、心の贅沢をしてみてもよいのではないでしょうか!? 同意頂けますのならば・・・近いうちに、きっと何処かの劇場でお目にかかりましょう。楽しみにしております。ではでは


追記1:現在「好色一代女」の稽古に向け、三味線を猛特訓中の佐久間さん。かの天才奏者・上妻宏光氏の直々のレッスンに、かなり幸せそうでございます。さて一体どんな演奏を舞台で披露してくれるのでしょうか。どうぞお楽しみに。

追記2:目下歌舞伎座の舞台「NINAGAWA 十二夜」に出演中の我らが(いつからそうなった?)亀ちゃんこと、市川亀治郎氏。この舞台が終了しますと、ご自身が主催されている『亀治郎の会』の公演が国立劇場(小劇場)で予定されています。そして、その後の舞台が・・・そうです、お待ちかねの「好色一代女」でございます。歌舞伎以外の舞台はこれが初めてということで、ご自身大いに張り切っていて下さいます。(ちなみに、歌舞伎以外の舞台が初めてということは・・・女優さんとの共演が初めてということであります)ブレイクすること間違い無いという彼を詳しくお知りになりたい方は、どうぞHPを訪ねてみられたら如何ですか?とても綺麗なサイトですよ。 http://www.kamejiro.net

× 閉じる