ぶたい制作日記 2005年6月16日(木)

「出演者の横顔」〜Part 3 完結編〜

いつ終わるとも知れぬペースで続けて参りましたこのPart3も、“次号に続く”を2回も繰り返してしまったともなれば、流石に今回のこのつぶやきにて完結しようと思っております。「いい加減にしろ!」という良識的な(?)書き込みが掲示板に掲載されぬうちに・・・。

てなわけで、さっさと参りましょう・・・では早速。

6年前の舞台作品、「パパに乾杯」(Relatively Speaking)の稽古場で、良かれと思ってオコジョの話を持ち出したはいいけれど、不本意にも『女優さんをイタチと罵った』ということになってしまうという、予想もしなかった最悪の展開に心はズタズタ身はボロボロと、哀れ小生、見る影もなく落ち込んでおりました。尽きることの無い溜息を吐きつつ事務所のデスクにうなだれて・・・がしかし、そこに拾ってくれる女神が登場し話は急転直下。一気に解決の糸口が見つかり、悲劇(と思われた)は穏やかにその結末を見せたのでございます。

ここに登場の女神こそH女史。当カンパニーに於ける金庫番。経理を担当する美人にして聡明、即ち美人薄命・・・ではなかった、眉目秀麗・才色兼備。部門は経理部なれど舞台のことなら歌舞伎・新劇・宝塚、何でもござれというれっきとした舞台人。その彼女がこう話しかけてくれたのです。

「どうしたの?元気ないじゃない。いいの、稽古場に行かなくて?」と。

そこで小生、実は斯く斯くしかじかと、これまでのいきさつと事の顛末を涙ながらに話したのでございます。すると彼女、極めて冷静にそして簡潔に(彼女は常にこうなのです)こう進言してくれたのです。

「どうして広辞苑をコピーして持って行ったりするのかしら?オコジョの可愛いい写真を見せればそれで済むことなのに・・・。そんなことで落ち込んでいたら、役者さんとのお付き合いなんて出来ないわよ、特に女優さんとはね・・・」「それはね、オリエさんにきっと担がれているのよ」と。そして「まあいいわ、オコジョの写真なら確か家にあるから、明日持ってきてあげる」

こう言われて思い出したのですが、彼女は山・川・鳥・花をこよなく愛すナチュラリストでもあったのでございます。かつてまだお子さんが出来る以前はご主人と山登りをされていた経験もあるのでした・・・。こうして翌日持って来てもらった写真集は「自然をみつめて」(写真/小池信雄)。そこには様々な動物の愛らしい姿が綴じられているのですが、オコジョはことのほか良く写っており、これにより小生勇気百倍、ほうれん草を食べたポパイさながら、写真集をしっかりと胸に抱き稽古場へと汚名返上に向かったのでございます。その結果ゆう子ちゃんの機嫌が直ったのは言うまでもありません。スタッフからも「よかった、よかった」の言葉。ああ、めでたし、めでたし・・・。と、そこにオリエさんがやって来られこう言われました。「いい?これからは思いつきで適当なことを言わないこと」「でも、良い経験になったでしょ?私たちもとっても楽しませて頂きました。少しやり過ぎかとも思ったけれど・・・」「それにしてもゆう子ちゃん、本当にオコジョに似てるわよね」「ところで私は誰に似てる?」

ちなみに佐藤オリエさんがオコジョのことを知らなかったというのはまったくの嘘。H女史の推察の通りオリエさん特有の辛口ジョークだったのでございます。この舞台「パパに乾杯」は興行的にも好調で、その後も東京での再演を含め中部から関西、北陸、北海道とツアーを果たしました。行く先々でお客様から温かい拍手とおもてなしを頂いた思い出に残る舞台でありましたが、オリエさんからのご指名で特別にツアーに同行した小生(この作品では小生は東京公演の営業がメインの仕事であり、本来ならツアーへの参加は有り得ないことでした)にとっては、オリエさんに可愛がられ続けた(?)思い出も加え、生涯忘れることの出来ない作品になったのでございます。

勿論ゆう子ちゃんとも仲良しになり、今では彼女のお母様とも仲良くさせて頂いております。母として、また女優・宮本裕子を一番良く知り、応援する最高のファンとしての姿、この母子のやり取りは傍で見ている我々にとって心温かくなる光景でございます。おそらくお母様は「好色一代女」でもいつものように沢山のお友達を誘ってゆう子ちゃんの舞台を観にきて下さるに違いありません。

さて、宮本裕子さんのご紹介の巻が思わぬ方向に進んでしまい、なんと3回のつぶやきにわたってお届けすることになってしまいました・・・。そうしている間にも、舞台「好色一代女」の制作は順調に進んでおります。皆様にお伝えし、聞いて頂きたいことが山盛りに揃っており、これからもきっとそんな風景をお伝えしようと思っておりますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。  ではでは

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