ぶたい制作日記 2005年4月7日(木)

「演劇のメッカ」下北沢 編

都内にお住まいの方には改めて説明するまでもありませんが、世田谷(区)の東、渋谷区に限りなく近い地域に下北沢(正確には北沢)という場所があります。駅を中心に細い路地がいく筋も通り、おもちゃ箱をひっくり返したような、愛くるしくも(?)ゴチャゴチャっとしたこの街はいつでも若者で賑わっています。

近頃はかの、ピアニスト、フジ子・ヘミングが住んでいる街ということで改めて有名になりました。(今や“しもきた”と言えば下北半島ではなく下北沢なのであります。全国的に、はい)

実はこの街、演劇のメッカでもある訳でして・・・。そんなこんなで今回のつぶやきはこの街、下北沢のお話でもしましょうか。


私どもにとって下北沢はある種特別な感慨を抱く街であります。関わり方はそれぞれ違っていても、まるで縁が無かったという演劇人(役者もスタッフも)はおそらく一人もいないでしょう。

その訳はと問われるならば・・・なにしろ劇場が多い。あの地域だけで一体幾つの小屋(劇場)があるのでしょう。しかもそのどれもが皆小さく(狭く)、小屋代(劇場費)が比較的安価な為、アマチュア劇団でもちょっと頑張れば自主公演が果たせるのです。つまり、プロ・アマ問わず東京中の演劇人がこの街で交錯しているということになる訳なのであります。さて、これらの小屋がどのくらい小さいかと言えば、例えば駅から徒歩20秒という「駅」小劇場などは100人も客が入ればもうパンパンになる程。(実際のところ、満席の公演では息苦しくなります)一番大きな本多劇場でさえせいぜい400人くらいでしょう。しかし皆さま、小さいからと言って馬鹿にすること無かれ。こうした小屋ではいつも何かしらの芝居が上演され、客の笑いや涙を誘い、我が国の演劇文化をしっかりと支えているのでございます。

かつて日比谷を「日本のブロードウェイにしよう」という運動があったそうで、確かに日比谷界隈には映画館や劇場がひしめいています。が、ブルジョアの香りがするこの街に比べ、下北沢はただひたすらに庶民の匂いがします。下北沢駅を有する小田急・井の頭両線沿線には大学が多いことから、元気のいい学生達の嬌声がそこらじゅうの店から夜毎聞こえてくるのですが、朝まで飲んだくれている輩の中には、演劇人も少なからず混じっているに違いありません。

小生もこの街とは浅からぬ縁を持っておりますが、つい先日も芝居を観にこの街に出掛けて参りました。

劇団 東京乾電池公演「長屋紳士録」という出し物でございます。劇場はザ・スズナリ。通りに面したチケット売り場の横の狭くて急な階段を上がった2階が劇場になっているのですが、ここもご多分に漏れず全く小さく、天井も低い。おまけに客席は背もたれの無い長椅子・・・。もし火事でも起きたら?などと想像すると、とてもじゃないが怖くてやり切れないのですが、その古さ、暗さ、危険度(?)、こうしたもの全てが演劇人にとってはたまらない“魅力”なのであります。

さてさて小生が観て来た芝居、面白かったですよ。大いに満足。柄本明のあの演技・・・。楽しかったなあ。一体何処までが演技で嘘なのか、とらえどころの無いあのお芝居は、腹ペコだったことも忘れさせてくれるものでございました。これを読んで下さっている皆様もきっと楽しいに違いありません。生でご覧になりませんか?4月13日まで、14時と19時。連日2回公演をしております。(当日券も販売させていますのでご安心を)

実はこれ、当の柄本明さんに頼まれたのであります。「皆に宣伝してよ」「うちの劇団、経済的な問題を抱えているんだから・・・・・」って。

さあ、下北沢のお話をした本当の訳(ネタ)がバレてしまったところで、ブルジョワの皆さま、改めまして貧しき演劇人をどうぞお見捨てのないよう、心よりお願い申し上げます。そして、もし皆さまの中に酔狂人がいらしたなら、下北沢の安そうな居酒屋に入って、隣のテーブルの熱弁にそっと耳を傾けて下さいまし。きっと熱き演劇人の芝居談義が聴こえて参りますよ。ではでは


追記:小生が中学生の頃、デートの待ち合わせは必ずといっていいほど “日劇の前”だった気がします。今は無きあの日劇・・・ああ、あの佇まいはもう遠い昔の思い出となりました・・・・・。

それにしてもお金の無い中学生がどうして日劇だったのでしょう?下北沢の方が子供にはよっぽど楽しかっただろうに・・・・・。

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