「ただ今稽古場に来ておりマス」
はい皆さま、Bunnでございます。
小生ただ今、都内某所にございます「ナイル殺人事件」の稽古場の前に来ております。今回はここから実況にてつぶやかせて頂きたうございます。
顔寄せ以来、実は小生もここに足を運ぶのは2回目であり、(現場付きの制作担当からはいろいろ情報は得ておりましたが)稽古の進行状況を目にするのはハラハラドキドキでございます。さて、一体どんな様子をお伝え出来るでしょうか。では参りましょう。
我がカンパニーの稽古場は3階の第3スタジオ。冷たい雨の中、足音を立てないように気遣いながら古くて急な階段を登り、入り口に辿り着きますと色とりどりの傘が些か錆びの目立ち始めた傘立てに差し込まれております。皆さん揃っておいでのようです。「オハヨウゴザイマ〜ス」。静かに重い扉を開けますと・・・、運が良いのか悪いのか、そこはたまたま休憩中のひと時。稽古場のあらゆる視線が小生に集まって…。「・・・え」「あ・・・・・」「う・・・・・」勇気を出して「あの、オハヨウゴザイマ〜ス(怪しい者ではございません)・・・」消え入りそうな声にてもう一度発しますと、最初は怪訝そうな顔をしていたキャストの顔が次第に笑顔へと変り、小生やっとのことで息がつけた思いでございます。
顔寄せの時こそ賑やかだった稽古場も、役者と演出家の戦いの(?)場となった今は静かなもの。特に本日はスタッフといっても演出部に属する精鋭部隊が2人と、現場付きの常駐制作スタッフが顔を揃えるのみ、照明スタッフや音響スタッフもおりません。こうした中、演出家、演出助手、そしてキャストが広い稽古場を緊張の張り詰めた空間へと変貌させております。
さて入り口脇の張り紙に目をやりますと、なになに、今日の稽古は2幕2場か…。えっつ、2幕2場?ってことはこの芝居は2幕3場で終了だから・・・、(台本を確認してみますと)やっぱりそうだ、犯人がとうとう暴かれる場面じゃあございませんか!本読みからたった10日で、ここまできちゃうのかよ!?と、驚きを覚えつつこれから繰り広げられていく大詰めの場面に大いに期待を膨らませるのでございます。どうやらいい時にやって来たようです。
しばしの休憩が間もなく終わり、再開された稽古は欣也さんと淡路さんとのやり取りの場面。お二人とももう台本は手にしておらず、衣裳こそ稽古用のものではあるものの、本番さながらの迫力でございます。
他のキャストはと言いますと、一人一台の割りで行き渡っている6尺テーブルを前に、自分の出番が来るのを待っております。演出家山田和也の言葉を聞き漏らすまいと耳をそばだて、目を皿のようにし、ベテラン2人の一挙手一頭足を食い入るように見つめております。
さあ、山田和也氏は一体どんな演出をしているのでしょうか?小生も耳をダンボにして・・・。フムフム、ナルホド、ああそういうことネ。いやあいつもながら、本当にこの人の演出は凄いですなア。何気なく聞き逃してしまうほどの小さな台詞に、深い深い意味を持たせ、気が付くとその一言が後のシーンに大きな意味を持つような台詞になっている。それに加えて動きかた、目線、発声音量に就いての細かな指示…。小生もこれまでに何人かの演出家を見て参りましたが、これほどまで肌理(キメ)の細かい演出をする人は貴重な存在でございます。
「中学生の時にはクリスティ作品を完全読破。ミステリーの基礎は全てクリスティから学んだ。」と自信を持っているだけに、山田氏のこの作品に取り組む姿勢には嬉々としたものすら感じられます。
さて、お次は何処に目を向けましょうか?
「えっ?何?」
稽古場の小生とは反対側の隅で、誰かが小生を手招きしております。ああ、あれは欣也さんのマネージャーじゃあございませんか。
「えっ?ちょっと来い?」
一体何でしょうか。このところ叱られるような失敗もしていないし、何のこっちゃ分かりませんが、ちょっと行ってきましょうか?
で、現在の稽古はと申しますと・・・ああ、出てきた。犯人ですよ、皆さま、犯人・・・犯人。いよいよ出て来ましたよ。さあ、ドキドキしますね、スリルですね、サスペンスですね。おっと、手にはなにやらピストルらしき物を持って・・・ワッ、ギャー!!
「えっ?早く来い?」
なんだかしきりに小生を呼んでおられますので、ちょっと失礼致します。
それでは、今回の実況はとりあえずここまで。このつづきは後日お伝えしましょう。
ではでは
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