「ちょんまげから牧師へ」
時計の針が予定時刻を今まさに指しかかろうとした時、欣也さんは黒い車に乗って到着なさったのでございます。
京都での撮影の合間を縫ってお出で下さった氏は、お疲れのご様子も無く、いつものように穏やかな微笑みとともに颯爽と車を降り、「いやあ、すごい雨。」と言いながら、「ご無沙汰しております。本日は宜しくお願い致します。」という小生に対し、「こちらこそ。」という優しいお言葉を掛けて下さったのであります。
そして、いよいよ取材のはじまり はじまり…。
コーヒーを前にされた氏は「なにせ昨日までちょんまげを付けて立ち回りをやってましたから、気持ちがまだお侍さんなんですよ。」「ナイル殺人事件の舞台で演る牧師の気持ちにはちょっとなり切れないかも知れませんが。」とおっしゃりながらも、映画・TV、そして舞台の話となると、こちらが質問を投げかける間も無いほど身振り・手振りを混ぜながら楽しいお話を沢山聞かせて頂きました。
お陰で小生の“合いの手”などは全く必要なく、そして勿論ライターでありインタビューアの彼も、大きな過ち(?)をしでかすこともなく、ことのほか順調に進行していきました。これまでに数えきれないほどの役をこなしていらっしゃりながら、舞台でご自分がかつて演じた役名は勿論のこと、その時の観客の息遣いまで、それこそ昨日のことのようにお話下さるその姿に、《スターたる所以》を見たような思いでございました。
さて緊張の余り青い顔をしていたライター氏といえば、確かに彼はこの取材で顔を揃えた中では一番の若手ではありますが、 “取材人”としては立派な実績をお持ちであり、(以前も「検察側の証人」というクリスティ作品を上演した際、麻実れい氏の取材をお願いし、実に素晴らしい記事を書いて頂きました)小生は些かの不安も感じてはいなかったのであります。その鋭い質問と実にまとまった編集内容はミステリマガジン12月号(10月25日発売)でお読み下さい。どうぞお楽しみに。
京都にとんぼ返りをされる欣也氏の都合で、「取材時間は1時間以内」と言われていたにも関わらず、45分もオーバーするほどの盛り上がりを見せたこの取材は、こうして無事終了致しました。
で、その帰り際
| ライター |
「本日は有難うございました。今日伺ったお話を上手くまとめられるよう、頑張ります。あの、ところで……うちの母が大ファンで……。」 |
| 北大路 |
「貴方のお母様?それじゃあ随分前から…。そうですか、どうぞ宜しくおっしゃって下さい。」 |
とおっしゃると、ご自分のカバンからサッと公演チラシを取り出し、サインをしてライター氏にお渡しになりました。
と、
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| 課長 |
「アッ、エッ!ちょっとお前…。あのー北大路さん、実はうちの女房が大ファンで…。」 |
| カメラマン |
「アアッ、エエッ!ちょっと課長…。あのー、実はわたしが大ファンで…。」 |
こうして3名は仲良くそれぞれに書いて頂いたお宝と、楽しい時間を過ごした思い出を持ち帰ったのでございます。 |
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