ぶたい制作日記 2004年10月8日(金)

「うちの母が大ファンで…。」

北大路欣也と聞いて皆様は何を思い浮かべられるでしょうか?それぞれの年齢や性別によって氏のイメージや印象度は違うのでしょうけれど、とはいえ、ほとんどの方は「2枚目俳優」という言葉(今ではあまり使わなくなりましたネエ)とともに眼光も鋭く、凛々しい姿を思い浮かべるられるのではないでしょうか?

北大路欣也氏のデビューは昭和31年の東映映画「父子鷹」(おやこだか)。勝麟太郎役でお父上の市川右太衛門氏との共演でデビューし、その後はスター街道一直線の役者人生を歩んでこられているのでございますが、マネージャー氏から頂いた履歴を改めて見ると、その出演作品の多さにまずは驚かされるのであります。映画を始めとして数々の舞台、そして時代劇を中心としたTVドラマ。いやあ兎に角その数の多いこと多いこと…。その質の高さと本数から言えば、間違いなく我が国の代表的な役者の一人でありますナ。

さて取材を前にした我々の打ち合わせは無事に終了したのではありますが、途中から早川書房の課長と、欣也氏の所属プロダクションの社長も合流し、何ともはや雨の日の取材インタビューはずいぶん賑やかな装いを呈して参りました。「我々は車の到着を外で待ちますから、到着までどうぞごゆっくり。」と、社長とマネージャー氏はホテルの入り口に向かい、残された我々は本番を前に、しばし雑談を交わしたのですが…。

課長 「北大路さんと言うと、なんてったって東映のヤクザ映画、“仁義なき戦い”ですよね。あれはよかったなあ。」
カメラマン 「ああ、うん、カッコよかったですね、あれは。でも、TVでやった宮本武蔵もよかったですよ。もう12〜13年前かなあ。」
課長 「まあね、NHK大河(ドラマ)の独眼流正宗でも凄かったもんね。この人、普段からちょんまげ結っているんじゃないの?なんて思うほどその姿が自然でカッコ良くって。」
カメラマン 「まったくその通り!」
Bunn 「でも、欣也さん、その昔は翻訳劇の舞台でも活躍されているんですよ。“オンディーヌ”や“スカーレット”。うちのカンパニーで製作した“NINAGAWAマクベス”とか。」
課長・
カメラマン
「そうでした、そうでした。」
Bunn 「さっき打ち合わせた質問事項に、昔の作品の話なんかも混ぜてもらえると話が膨らむかも知れませんよ。」
ライター 「・・・・・・」
Bunn 「どうしました?」
ライター 「えっ?いや、べつに…。もうそろそろですかね。」
Bunn 「ええ、もうそろそろですけど…。顔色悪いですよ。」
課長 「緊張してるの?」
ライター 「・・・・・・」
Bunn 「こちらが緊張していると、それが相手に伝わってかえって良くないですから、まあ気楽にいきましょうよ。」
ライター 「・・・・・・」
課長 「で、君は北大路さんの何が好き?」
ライター 「うちの母が大ファンで・・・」
カメラマン 「で?」
課長 「で、印象に残っているのは?」
ライター 「子連れ狼・・・・・・」
カメラマン 「それ、ずいぶん最近だね。他には?」
ライター 「母が昔からいろいろと観ていて……。」
課長 「えっ、なに?で、君はそれだけ?ねえ、映画や舞台は?ビデオとか借りて勉強してきてるよね?」
ライター 「・・・・・・・」
課長・
カメラマン
「ちょっと、まずいんじゃないの、それ?」
ライター 「母が…大ファンで…。プロフィールは…暗記してきてます…。」
課長・
カメラマン
「あのさあ…」

会社の大先輩2人から攻められるライター氏はますます小さく、そして青くなっていくのであります。
Bunn 「大丈夫ですよ。話が行き詰ったら、合いの手を出しますよ。ヨッ!とか、ああコリャコリャとか…。」
一同 「・・・・・・」

多少の気まずさを感じた小生は、焦り気味の課長とカメラマン、そして今やすっかり血の気も失せ、額にはうっすらと脂汗をにじませているライターを残し、玄関で北大路氏を待ち受ける社長とマネージャーのもとに走るのでありました。
つづく

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