
アルバム名:NOW & THEN
アーティスト:カーペンターズ
曲目リスト
1.シング
2.マスカレード
3.ヘザー
4.ジャンバラヤ
5.アイ・キャント・メイク・ミュージック
6.イエスタディ・ワンス・モア
A.ファン、ファン、ファン
B.この世の果てまで
C.ハイ・ロン・ロン
D.デッドマンズ・カーブ
E.ジョニー・エンジェル
F.燃ゆる瞳
G.アワー・デイ・ウィル・カム
H.ワン・ファイン・ディ
7.イエスタディ・ワンス・モア/リプライズ
CD:NOW & THEN |
若いとき、1年と半年間、奈良県吉野で建設作業員として働いていた。
吉野杉、吉野桜で有名なところである。
何故か飯場暮らしに憧れていた。
工事が終われば次の飯場に移動。
飯場から飯場を流離う一匹狼に、「男」を感じた。
家族を捨て、酒と旅に生きる放蕩の人生を送った、
愛すべき“ろくでなし”山頭火の「野垂れ死に思想」にカブレていたのかも知れない。
吉野での生活は思い出深い。
春は満開の吉野千本桜。
ひらひら舞う花吹雪の下で鶴嘴を振った。
夏の夕暮れになると、ヒグラシの合唱。
乾いた「カラカラ」が山間を木霊する。
秋は山々が燃えたかのように紅葉。
吉野の冬は厳しい。
セメントをこねるためにバケツに汲んでいた水が昼休みの一時間で表面が氷る。
楽しみは仕事を終え夕食後ふらりと行く、喫茶店での一杯のコーヒー。
近鉄の駅前に洒落た一軒の喫茶店があった。
毎日のように通った。可愛いお目当てのウェイトレスもいた。
そこで頻繁に流れていたのがカーペンターズの「NOW & THEN」
その店はかけているレコードのアルバムジャケットをステレオコンポの上に立てかけていた。
軽快なアメリカンポップス、曲間に流れるテンポのよいDJの口調。
爪にはセメントがこびり付いている。
手のひらは肉刺だらけ。
昼間の肉体労働より解放され、今こうして洒脱な音楽を聴きながら煙草を燻らしている。そんな生活が可笑しかった。
その後、全く異なる仕事に就いた。
振り返ってみれば、吉野での生活が一番充実していたように思える。
太陽と同じリズムで寝起きしていたからであろう。
了
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