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振り返れば楽しきかな我が人生 人生イメージ


結婚恋愛「マイとボク」みやげ-93-
By 千里一歩さん

友人と買い物
昭和52年。友人と買い物に。
数か月後。今度は札幌へ行くことになった。札幌地下鉄の自動改札装置は日立製である。その模様を現地ルポする。といっても主役はカメラマン。記事のスペースは小さく、写真が大きい。今度は、マイとの冗談話はなく、事務的に「じゃあ、行くね」という調子で出かけた。年が明けたばかりの2月である。「寒そうだね」というので「冬だから、札幌が絵になるんだろう」といった。
 
余分なカネを持って行くわけではないので、札幌で遊ぶことなどできるはずもなく、ただカメラマンと一緒に、羽田、千歳と体を運んだ。千歳から札幌までの長い距離のバスが、白い雪に覆われた世界が窓外に展開した。札幌に着いて、撮影はすぐに行なわれ、あっという間に仕事は終わった。すぐに帰りたい。夕方、千歳行きがある。東京への航空便もある。「どうします。私は一泊していきたい」とカメラマンがいう。無駄話を一切しない。無口な男である。そのぶん、一緒にいて面白くも何ともない。「私は今夜帰りたいので。お先に失礼します」といって、私は切符を買った。

それでも2時間ほど時間があまった。「せっかくだから見るだけ見よう」と、繁華街を一人歩いた。市内の雪は少なく、雪まつりの行なわれている大公園、夜は別世界になるのだろう、すすきのの街を急いだ。せっかくだから札幌ラーメンを食べてみようと評判の店を聞き、その店に入る。壁にアイヌのアットゥシ(樹皮衣)が飾ってある。2,3日あれば、市役所や道庁へ行って調べたいことは山ほどあったが時間がない。期待するほどうまくない本場のラーメンに失望して外へ出た。

ふと千歳空港では天候次第でよく欠航するという話を聞いた。明日は他に予定があった。なぜか落ち着かない気持ちで、札幌駅前のバス停から千歳空港へ向かい、夜行便で羽田へ戻った。東京は夜。羽田から電車で新橋へ。新橋から山の手線に乗って秋葉原。秋葉原で総武線にのりかえ、市川の住まいに帰り着いたのは、もう真夜中の12時をすぎていた。

驚いたのはマイだ。ドアでピンポンすると、なかなか出て来ない。もうすっかり寝ている時間だが、ピンポンの音で目は覚めるはずだ。10分すぎても出て来ないので、ドアを叩き「おおい。帰ったよ」と声を出した。ようやく、カチリと音がしてドアが開いた。「寒いよ」と思わず、恨み言をいう。するとマイは。「こんな時間に帰って来るんだったら、一泊してくればいいのに」と不満顔だ。それでも「まあ、お疲れさん」といってくれた。最近、近所で押し込み強盗があり、夜はピンポンの音がしても放っておくそうだ。「怖いんだよ。夜は」とマイは何度も繰り返した。そして布団の中でこう言った。「おみやげは?」と。ボクは小さく「ない!」と応えた。

(つづく)


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