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振り返れば楽しきかな我が人生 人生イメージ


結婚恋愛「マイとボク」 -32-
By 千里一歩さん

マイカー
マイカー
運転免許証は20代に持っていた。マイを軽自動車に乗せて渋谷・道玄坂を急カーブで走り車輪の片足を上げて冷や汗をかいたことがある。また駐車違反場所に駐車して交番で道を聞き「あの車はあなたが運転しているの?」といわれ「いいえ。注意してきます」と戻り二人で乗車するや狂ったように発進、逃げてしまったことがある。マイは興奮して「面白い!」とはしゃでいた。

一番怖かったのは、小型バスを運転していた時のことだ。5,6人乗せて大磯海岸へ行き京浜国道で東京へ帰って来る途中、対向車のトラックが遠目のライトをつけていたため、視野が真っ暗になったまま車を走らせた。前後に走る車があるから急停車できない。いらいボクは2度と運転しなくなった。25年すぎても自転車やタクシーを使っていた。だが事業を拡大するためには不便を覚えた。

一番困るのは雨の日であった。雪の日に自転車ごと転倒したこともある。タクシーが近くで拾えない。高価なカメラだけは濡れないように工夫したが、ずぶ濡れで取材先へ訪れることはできない。それに、運転免許証は身分証明にもなる。持っていないことが時代遅れであった。
 
昭和62年、ボクはA区の教習所で悪戦苦闘し、江東区の試験場でテストを受け、一発で合格した。受験者の約50%は20代、30%は中年の主婦、ボクのような40代後半はほんのわずかであった。うれしくて仕方なかったが、マイは「あ、そう」というだけ。レンタル車を月に10日平均借りて運転に慣れ「助手席に乗せてやる」といったが「いい」と逃げる始末。「怖いよ」という。若い頃の印象が強烈に残っていたのだ。結婚して25年。マイはもう「面白い」とはいわない世代になっていた。自分も「免許を取る」といったがタイプレスいらい、その意欲も失っていた。
 
車については多様なエピソードがある。マイカーを持ってからだ。
・アルバイトの若い女性を助手として乗せ事務所を出ると、数分後マイに「お宅のご主人が若い女を乗せている」と電話があった。
・若い男子社員に運転させたら、ボクを乗せた車を信号手前で前方車に追突させた。
・パーティーの帰りに某警察の署長、副署長、交通課長を最寄の駅まで送ったが、その時ボクはたまたま免許証を携帯していなかった。
・足が弱くなってきたので歩くクセをつけていた頃、車で取材に行き、歩いて帰ってしまった。等々。
 
また、あるビルの管理をした時、その1階駐車場をそっくり使っていた。ここが野良猫の溜まり場になった。マイがセッセと餌を与えていたのである。また猫好きがはじまっていた。ボクは、はじめは気付いていなかった。「出かける」といえば、」マイが先に行って猫達を一時退避させていたのである。冬の車は温かいので屋根上やボンネットの上に猫が鎮座していることが多い。「車体に猫の爪傷がつく」と苦情をいうと、駐車中はうすい布団を車にかけるようになった。(写真)

「あれは、車を守るのでなく、猫にすわりここちよい布団を提供した感じだね」と皮肉をこめていうのだが、マイは「そうよ。猫は守り神よ」と笑うだけであった。

(つづく)


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