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振り返れば楽しきかな我が人生 人生イメージ


結婚恋愛「マイとボク」 -19-
By 千里一歩さん

カラオケ
昭和57年
事務所に留守番や受付、雑用をしてくれる女の子が必要になった。1階の玄関のドアにアルバイト募集の張り紙を出した。効果はすぐ出た。20歳すぎたばかりの美しい品のある娘である。マイも一緒に面接をした。聞けば近くにある神田外語学院に通学中という。時間給で授業時間以外はすぐ駆けつけるという。マイは「こんな夫婦だけの事務所に大丈夫?」と、むしろ「来てもらえる?」という気持ちになった。

40代なかばになると20歳前後の娘は理屈抜きに可愛いい。こんな時、子供のいない夫婦の弱点がモロに出る。こちらの都合に合わせてもらうのでなく、相手の都合にこちらが合わせるという状況になってしまうからだ。夫婦ともメロメロになる。感じのよい人がいることはイメージアップになるなどと自分に言い聞かせる。

即決で採用を決定した。ところが三か月すぎた頃「結婚することになりました」という。仕方がない。ところが「できればご夫婦で出席してもらえませんか」と頼まれた。「ご夫婦のようになりたいのです」といわれると断れない。マイも一緒になって「いいわよ。おめでとう」と喜んでいる。

さて、このあとが大変であった。まず祝金。さらには「東京だから着物にしたい」というマイは貸衣装を借りることになった。ボクは冬用、夏用の式服を持っているからよかったが、当日はタクシーで赤坂のホテルへ行き、いい気分で神田に帰ると「このまま帰るのはもったいないね」とマイが親しいI氏や、その奥さんがママをしているパリジェンヌというパブへ立ち寄った。

パリジェンヌは神田駅前のビル2階にあった。I氏とのつきあいはI氏がタイプの注文をするために事務所へ訪れた時にはじまる。I氏は日本ウエイトリフティング協会の理事で、以後、同協会の文書を依頼されることになるが会うたびに親しくなりパリジェンヌへ行く回数もふえた。店内は50人座ることができるソフアーボックスがゆったりと配置されている。ドレス姿の美しいホステスさんもいる。ボク達はいつも二人連れで遊んだ。

ボクは酒が飲めないが、マイは酒やビールが好きである。ホステス嬢は、ボクより酒を飲み支払い責任者であるマイとよく話した。第一、マスターが付きっきりである。マスターやママがピタリとつく客は大事な客という意味がある。ボク達は大した客でもないのに大事にしてくれた。いらい親交を深めている。料金は特別に安くしてもらっていた。タイプで1万円の仕事があると、その夜は店で2万円分は遊んだからである。

ボク達がパブの面白さを知ったのは、カラオケブームの上昇期のパリジェンヌであった。現在、この店はニューキプロスという店名で外神田6丁目にある。人柄のよい素敵なマスターである。ちなみに3か月のバイトの結婚式の日は1日で20万円使ってしまった。

(つづく)


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