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H「歌舞伎検定」答えあわせ
前回の連載では「歌舞伎検定」を意識して、ちょっと模擬テストをやってみました。内容は初級程度ですが、歌舞伎をご覧になったことがない方でも何となく耳にしているような事柄から出題してみました。
まず(1)は与三郎の名せりふ。
『ご新造さんへ、おかみさんへ、お富さんへ。いやさお富、久しぶりだなぁ』はお芝居を見ていない方でも何となくご存知なのではないでしょうか? 歌舞伎というのは、ストーリーはさておき、こういった名せりふや役者の格好よさ、あるいは立ち回りや動きの見事さでその場面が印象に残れば、それでもう十分に楽しめるものです。頭で考えずに目と耳で素直に楽しんでみましょう。
ところで『粋な黒塀、見越しの松に、仇な姿の洗い髪・・・・』の「お富さん」は、もちろんこのお芝居がモデル。
(2)「忠臣蔵」の本外題はもうお解りですね、「仮名手本忠臣蔵」です。「仮名手本」とは“いろは四十七文字”つまり「四十七士」を意味し、「忠臣」は赤穂の“義士”のこと、そして「蔵」は「大石内蔵助」の“蔵”、なんと良く出来ているでしょう。元々人形浄瑠璃として作られ歌舞伎でもヒット作となったこのお芝居のお蔭で、その後、映画でもテレビでもこの赤穂浪士のお話を「忠臣蔵」と総称するようになりました。
江戸時代は史実をそのまま芝居にすることが禁じられていましたので、「仮名手本忠臣蔵」は足利時代という設定に置き換えられ、登場人物も大石内蔵助ならぬ大星由良之助、浅野内匠頭が塩冶判官(えんやはんがん)、吉良上野介が高師直(こうのもろなお)と変えられていますが、映画では普通史実通りの人物が登場します。昔の東映時代劇など懐かしいですね、大石内蔵助に片岡千恵蔵、吉良上野介が月形龍之介、浅野内匠頭は中村錦之助か大川橋蔵・・・・・私の歳がバレそうですが、皆さんご同様ですよね。
(3)の「歌舞伎十八番」は市川團十郎の「家の芸」。七代目團十郎が市川家の得意芸と伝えられている十八演目を制定し、そこから「得意芸」を総称して「十八番」と呼ぶようになったというのが通説ですが、これには異論もあり、仏教の影響で古くから十八という数字に同様の意味が込められていたとか、「十八番」と書いて「おはこ」と読む習慣もすでにあったとする説があります。「歌舞伎十八番」の中で人気演目といえば「勧進帳」「助六」「暫」「毛抜」などが有名ですが、中には内容が定かに残されていないものもあり、いま舞台で目にできるのは半数くらいでしょうか。
(4)「白浪五人男」の本外題は「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」、作者の河竹黙阿弥は面白い題名を付ける達人で、「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな=河内山と直侍)」、「鼠小紋東君新形(ねずみこもんはるのしんがた=鼠小僧)」など、ちょっと難解ですが趣向の凝らされた秀逸な外題が数多くあります。この「白浪五人男」も、最近は別称の「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」で上演されることが多くなりました。
(5)前問「白浪五人男」の「浜松屋店先の場」にはおなじみの弁天小僧が登場、そのせりふが『知らざぁ言って聞かせやしょう。浜の真砂と五右衛門が歌に残せし盗人の、種は尽きねぇ七里ヶ浜・・・・』。河竹黙阿弥はこういった心地良い「七五調」の名せりふを数多く書いています。「七五調」は、俳句や短歌もそうであるように、日本語のリズムにこれ以上見事にはまる字数はありませんね。
いかがでしょう、また少し歌舞伎に対する興味が深まりましたでしょうか? 歌舞伎の面白さは書ききれないほどあります。こういったクイズ形式で雑学を覚えて行くのも楽しいですね。
(つづく) |