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【 連載 】

歌舞伎を楽しむ!(18)

歌舞伎こぼれ話




 企画:林田プロジェクト
著述:(株)伝統文化放送(歌舞伎チャンネル)代表取締役社長
歌舞伎座舞台() 代表取締役社長
金田栄一様

歌舞伎座




歌舞伎座建て替えで『さよなら公演』

先日、歌舞伎座の建て替えに関するニュースが流れ、驚かれた方も多いようです。本格的な発表は来年の1月頃になりそうですが、現在の歌舞伎座での興行が2010年の4月までであるということと、来年(2009年)の正月興行から16ヶ月間は『さよなら公演』と銘打つことが発表されました。すでに3年ほど前に、「歌舞伎座の建て替えについて検討に入っている」という発表がなされていますが、それから考えれば案外時間が掛かったように思います。

私自身は計画の推移や詳細について知る立場にはないので、年明けの発表を楽しみにするしかありませんが、一方、私もこの劇場に30年近く勤務して来ましたので、今の歌舞伎座が無くなるのは大変寂しい限りです。一部報道に「保存を望む声もある」あるいは「保存に関する要望書が市民の方々から提出された」といった内容もあるようですが、お気持ちは本当にわかりますし心情的には私も同感ですが、しかしながら、こればかりはそうは行きません。

現在の歌舞伎座は昭和26年(1951)の開場ですので、もうかれこれ60年になります。昨今の鉄筋やコンクリートの耐用年数の基準ではせいぜい30〜40年のようですので、すでに充分期限切れです。昔の私たちは、鉄筋コンクリートの建物は未来永劫だなどと信じ、西欧の石造りの建築のように何世紀も持つと勘違いしていたふしがありますが、ここ20年くらいは金属疲労やコンクリートの強度などについてかなり教えられてきました。日本は湿気が多いですし地震も多い、そんな日本に一番適しているのはやはり木造でしょう。

何百年も前の神社仏閣がちゃんと残されているというのが見事にそれを証明しています。特に釘を使わずに木を巧みに組み合わせた古来の建築法は見事といわざるを得ません。接着部分が錆びることなく地震の揺れもうまく吸収して、ちゃんと五重塔や大伽藍が残されているのですから驚くべきことですが、木造建築の強敵はなんといっても火災。ですから奈良平安、あるいは鎌倉室町の寺社は大半が複数の火災に遭い、現存の建物は江戸時代中期以降の再建が多いというのも仕方ありません。

話は歌舞伎座に戻りますが・・・・というわけで、保存を望む声は大変ありがたいものの、実際それは不可能でしょう。保存だけをして「立入りを禁ず」というのならまだしも、多くの俳優が舞台で演じ、2000人近くの観客が毎日客席を埋め尽くすとなるとそうは行きません。耐震についても用心に用心を重ねなければいけない昨今の状況でもあります。

建設にはかなりの費用が掛かりますので高層の複合ビルにせざるを得ないようですが、劇場正面から見上げた景色はいかにも歌舞伎座と思わせる和風のたたずまいは残してくれるようです。何はともあれ今の歌舞伎座はあと18ヶ月ほどですから、まだ劇場に足を踏み入れていない方は、ぜひ一度お早めにお運びください。

なお、歌舞伎座そのものの由来についてはこの連載の第1回で記述しておりますので、よろしければそちらもお読みください。

(つづく)



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