歌舞伎座の売店は今日も繁盛
歌舞伎に限りませんが日本の“お芝居”は、舞台そのものの楽しみと同時にお食事や売店での買物など、半日を掛けてゆったりと過ごすのが大きな特色といえるでしょう。このあたりが何となく「演劇」と「お芝居」の違いのような気がします。
“幕の内弁当”という言葉も、「幕間に観客が食べた」あるいは「幕の内側で役者たちが食べた」など、その成り立ちについては諸説あるようですが、いずれにせよ芝居から発した商品であることは間違いなさそうです。外国の劇場にも飲物のスタンドなどはよくありますが、大人数を収容する食堂というのはあまり聞いたことがありませんし、売店商品のバラエティに富んだ品揃えとなるとおそらくこれは世界的に見てもダントツでしょう。やはり芝居も相撲も、日本人ならではのゆったりとしたぜいたくな時間の過ごし方が身上なのではないでしょうか。
日本の大劇場にはほとんど常設の売店スペースがあり、各劇場それぞれに特色を持ちながら、公演ごとに内容も工夫を加えて観客サービスに努めていますが、中でも歌舞伎座の売店の賑わいぶりとなるとこれは別格。幕間の売店散策の風景はいつも縁日そのもので、特に役者の紋や柄をアレンジした手拭いや袋物、のれんなど“和”のテイストを持った小物が人気、さらに実演販売もある甘味の数々など、見ているだけでも芝居小屋特有の温かな雰囲気に浸れますが、いやいやせっかくですから財布の紐を少しゆるめてみましょう・・・・。
実はこの売店も時代と共に様変わりしており、団体観客が主流を占めていた昭和30〜40年代は饅頭や煎餅などお菓子の箱物商品が圧倒的に主役で“歌舞伎座に行ってきたわよ”と親類やお友達あるいは家族へのお土産といった感が強く、それが昭和から平成に移るあたりから、自分自身がその場で、その雰囲気の中で食べたり楽しんだりするものに変わってきました。
特にいま行列必至といえば「鯛焼き」と「モナカアイス」でしょう。「鯛焼き」は“めでたい焼”と称して紅白のお餅が入っているところが特色、今月は1階に出店していますが、月によっては3階で営業しています。「アイス」はパリパリの皮にその場で小倉アイスを入れてくれますので、さっぱりとした甘味と香ばしさの相性が抜群で人気、どちらも1個ずつ紙の袋に入れてくれますので、作りたてをその場で立ってでも味わうという“いま風”にマッチしています。
また売店のレイアウトも以前は商品の大半がガラスケースに収められていましたが、十数年前に大改装して品物を自分の手で気軽に取れる形に変更、そのあたりから売店の雰囲気や賑やかさも一段と増して来たように思います。
つづく)
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