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by 銀座のカンカン娘
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6月最後の日曜日朝刊を見て、直感的にこれなら母も喜ぶと思いました。
紙面半分に「ムーラン=ルージュコンサート」の文字とカンカン娘のダンサー達が楽しげに踊っている広告が出ていました。
実は先日、友人の息子さんに母が貸した10万円のお金が20数年ぶりに返ってきたのです。母もすっかり忘れていたので、もう時効と一度は辞退したのですが、ご本人は「身体を悪くして永くは生きられない。長い間気になっていた」と仰います。母に何か楽しい思いをさせて上げてくださいと言われていて、数日間思いあぐねていたところです。
若いころに母が過ごしてきた古き良き時代のダンスや音楽が、今の親子二人きりのともすれば暗い日常生活にいい影響をもたらすかもと思いました。
すぐにチケットを予約し、90過ぎの母を連れて行くのでなるべく観やすい席をとお願いし、2日後にチケットを手にしました。母より私の方が楽しみにしていたように思えます。
7月15日(金) 当日は母にとって忙しい一日でした。毎週金曜日は朝一番から病院へ行き、内科・整形外科・泌尿科・リハビリ科で検診を受け、その足でデイ・サービスへ行きます。夕方5時過ぎに帰宅、お気に入りの洋服に着替えて6時ごろタクシーで東京溜池にあるサントリーホールに向かいました。
ホールの入り口には急ぎ足で入るお客さんが大勢いて、その中で母と私はゆっくりと歩き、チケット嬢に切符を渡すと「大丈夫ですか?」と声をかけてくださり、席まで案内をしてくれました。
すぐに開演となり、70〜80名くらいのオーケストラのコンサートが始まりました。一曲一曲終わるたびに大きな拍手が鳴り響き、母も一緒になって一所懸命に拍手を送っています。
暫くすると、後方より賑やかな声が響き、振り返ると後ろの両側の出入り口から大勢のカンカン娘たちが気勢を上げながら入ってきて、舞台に登りカンカン踊りです。
音楽に合わせ観客も手拍子して、真っ赤な衣装に身を包んだ踊り子は更に激しく身体を震わせ、場内は最高の高揚状態です。母も興奮している様子。 |
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フィナーレで大きなクス玉が割れ、きらきら光る綺麗な短冊が落ちてきました。母も数枚拾って持ち帰りました。 |
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今回、カンカン踊りに暫しの間、日常生活を忘れることができましたが、感動したことが一つ。
途中20分の休憩時間に母がトイレに行きたいと言うのでトイレを見に行くと長蛇の列。母を列に並ばせるのは無理ですが、用を足すためには致し方なく列の最後に立つと、係りの男性の方が声をかけてくださり、親切にも障害者用のトイレに案内してくださいました。そして母と私がトイレから出てくるのを待っていて、席まで母の手を引いてくださいました。
公演終了後、先ほどの男性が席まで見え、ホール出口まで母に話しかけて見送っていただきました。係りの方の心遣いや言葉で本当に気分の良い一日となり、喜びと満足感で二人とも胸が一杯でした。係りの男性の方が次の機会も是非おいでくださいと母に語りかけていたので、家に帰ってからも、「今度はいつ行くの?」と催促されています。感動をありがとうございました。 |