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楽しき郷愁そのA、映画「カーテンコール」

By ユウヤケ・シモヤケ さん
カーテンコール
(C)カーテンコール製作委員会



カーテンコール
昭和36年、山口県下関市の小さな「映画館」が舞台です。

1961年(昭和36年)、当時テレビで流行った番組は、パパ大好き・スチャラカ社員・夢であいましょう・若い季節・アンタッチャブル・シャボン玉ホリデー・七人の刑事・日清オリンピックショウ地上最大のクイズ。

思えば、テレビが台頭してくる頃、映画が衰退していく端境期だったのでしょう。

私が育ったのは九州の片田舎でした。その町では「東映」の映画館があって、日曜日はモーニングサービスで子供の入場料は確か5円だったと記憶しています。映画館の前には原色で塗りたくった美空ひばりや大川橋蔵の看板が掲出されていて、たくさんの人だかりに子供心に胸がときめいたものでした。

劇場内は満席で後ろはもちろんのこと、左右の通路にも立ち見の観客がいました。場内はタバコの煙が蔓延し、人いきれでムンムンしていました。

当時の売店は劇場内の後部にあって、上映中でも薄暗い明かりが点いていて自由にお菓子などを買えました。回りに氷砂糖のついた子供の口には大きい赤い色のアメ玉。一個5円だったと思います。映画が始まる前に親が買ってくれ、ザラザラした氷砂糖に口内を傷めながらモゴモゴ舐めたのを覚えています。

その頃の映画は善玉・悪人がはっきりして子供にも分かりやすかったです。善玉が悪人をやっつける場面になると大人も子供も一所懸命に手を叩いたものです。

雑踏イメージ
映画が終わり、外に出ると町はクリスマス商戦を迎えキレイなイルミネーションの渦、せわしく追い立てるジングルベルのBGM、高級外車がクラクションを鳴らし通り過ぎていく・・・都会の喧騒がありました。

甘いノスタルジアは吹っ飛び、厳しい現実に引き戻されました。

チンチン電車の廃止が決まると人々は懐かしさに殺到します。煤煙で嫌われ者だった機関車は未だにローカルで人気があります。無表情で不気味だった菊人形も今年限りとなると妙に寂しい。昭和30年代に深い郷愁を感じます。いったい当時の「何」を惜しんでいるのでしょうか。




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