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(C)Nightwatching B.V. 2007
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<Introduction>
美術史に燦然と輝く画家レンブラントの最大の謎──
なぜ、莫大な富と名声を極めた画家が、転落の人生を歩んだのか?
謎を解く鍵は、オランダの至宝で門外不出の名画「夜警」に隠されていた……
鬼才ピーター・グリーナウェイ監督が解き明かす、レンブラント破滅の謎
バロック3大画家の一人、世界3大名画の一枚を描いた画家、ルネッサンス以来最高の画家──400年近くもの間、様々な賛辞で、その偉大な才能を讃えられてきた画家レンブラント。その名を知らない者はないレンブラントに、その真相を知る者はない大いなる謎があった……。
当時の画家の社会的地位は低かったにも関わらず、レンブラントは30代で肖像画家として大成功を収めた。現代で言うなら人気スターのような存在で、セレブリティや有力者から次々と舞い込む依頼を数多くの弟子たちとこなし、広大な邸宅とアトリエ、果ては印刷所まで所有し、ひと財産を築いたのだ。ところが、1642年を境に、レンブラントの人生は突然、転落の一途を辿る。ついには破産宣告を受けるまでに至ったその理由は、いったい何なのか──?
美術作家としても活躍する鬼才ピーター・グリーナウェイ監督が、このレンブラント最大の謎に迫るのが、映画『レンブラントの夜警』である。美術学校の学生だった60年代半ばから、ずっと考察と研究を続けてきたグリーナウェイ監督は、レンブラントの「夜警」にこそ、謎を説く鍵があると確信した。果たして、オランダの至宝といわれ、門外不出の扱いを受けている名画に隠された秘密とは──?
絵筆を武器にスキャンダルを暴露したレンブラント、その告発の行方は?
1642年、36歳のレンブラントは人生の絶頂期にいた。一流の肖像画家としての名声がヨーロッパ中にとどろき、妻のサスキアの優秀なビジネス手腕も加わって、莫大な富を築いたのだ。その上、待望の男子が誕生、レンブラントの栄華には一片の翳りもなかった。あの絵を描くまでは……。アムステルダムの市警団の集団肖像画を引き受けたレンブラントは、モデルたちの実像に迫るべく、彼らに近づいた。そこには市民を守る英雄の姿など微塵もなく、あるのは金銭的不正とセックス・スキャンダル、挙句の果てには卑劣な殺人だった。レンブラントは、絵筆を武器に告発を決意するのだが、完成の暁には、市警団の恐ろしい復讐が待っていた。いったいこの絵のどこに、レンブラントは重大な告発を忍ばせたのか──?
「絵筆は画家の武器だ。何でも可能だ」自信に満ちて悪を告発したレンブラント。しかし、彼の絵筆は後世に残る至高の芸術を生み出したが、現世の勝利は生み出せなかった。市警たちが今にも動き出しそうな一瞬を見事に捕らえたこの名画の、いったいどこにどんな告発が潜んでいるのか? ──グリーナウェイ監督は「夜警」製作の過程を追いかけ、まるで一冊のミステリーを読むように“絵画を読む”興奮と楽しさを私たちに教えてくれる。その物語はグリーナウェイ監督の独自の解釈による全くのフィクションなのだが、「夜警」誕生の瞬間に立ち会った私たちは、本物の芸術の美に酔いしれながら、美の生贄となった画家の人生の行く末に心を揺さぶられずにはいられない。
それでも愛があった──レンブラントの人生を変えた3人の女たち
レンブラントには、人生を変えるほどの影響力を持った3人の女性との出逢いがあった。『レンブラントの夜警』では、3人の女性の全く違う愛の形が描かれる。
1人目は妻のサスキア。レンブラントの画商の姪で、やがて伯父に代わってレンブラントの仕事のマネージメントを担当する。出逢いがビジネス絡みだったので、レンブラントはたびたび自分たちの愛を自問する。しかし、産後の不調のせいでサスキアが亡くなった時、初めてどんなに自分が彼女を愛し、必要としていたかに気づくのだ。
2人目は、復讐のために送り込まれた家政婦のヘールチェ。サスキアを亡くした悲しみを忘れるため、レンブラントは彼女との性的関係に溺れていく。生活は乱れ、レンブラント転落の速度は速まるが、皮肉にも目の前の悲しみは確かに癒された。3人目は、やはり家政婦のヘンドリッケ。ヘールチェとの関係に終止符を打ったレンブラントは、20歳も年下のヘンドリッケの純粋さに、今度は真に心から慰められる。その頃、レンブラントはまさにどん底だったが、暗闇に光が浮き上がる彼の絵の如く、闇の中で真実の愛を見つけたのだ。
サスキアには、『プルートで朝食を』のエヴァ・バーシッスル、ヘールチェには、『ラスト・オブ・モヒカン』のジョディ・メイ、ヘンドリッケには『スネーク・フライト』のエミリー・ホームズが扮している。そして、教科書に載っている偉大な画家を、愛と欲、正義と悪に引き裂かれる男として見事に演じきったのは、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のマーティン・フリーマン。 |
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(C)Nightwatching B.V. 2007
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<Story>
絵筆は画家の武器だ。何でもできる──侮辱も、告発も。
人生の絶頂期
〜莫大な富と名声・敏腕な妻・待望の男子誕生〜
1641年、市民が社会を動かすほどの力を持つ共和国オランダ。その中でも西洋で最も豊かな都市であるアムステルダムの邸宅に暮らすレンブラント(マーティン・フリーマン)は、35歳にして人生の絶頂期にいた。一流の肖像画家としての名声がヨーロッパ中に響きわたり、何人もの弟子たちと共に広々としたアトリエで次々と舞い込む仕事をこなしていた。
妻のサスキア(エヴァ・バーシッスル)は、8年間にわたってレンブラントの画商をしていたヘンドリック・アイレンブルグの姪で、今では伯父に代わって優秀なパートナーとして、着々と富を築いている。ビジネスがらみで始まった結婚だったために、レンブラントは2人の愛は本物かと自問することもあったが、夫婦仲は円満だった。サスキアは待望の男子を出産、レンブラントの栄華には一片の翳りもなかった。この時までは……。
転落への第一歩〜市警団の肖像画・もみ消された殺人・告発の決意〜
1642年、アムステルダムの市警団から集団肖像画を依頼されるが、レンブラントは乗り気ではなかった。モデルたちが列に並んでいるか、テーブルを囲んでいるというのが集団肖像画のお約束だが、レンブラントは「ただ顔を並べて描くのはまっぴら」と言うのだ。しかし、産後の体調がすぐれないサスキアに、息子のためにもっと富を蓄えたいと言われ、レンブラントはいやいやながら承諾する。
注文主の人となりを画家がよく理解してから肖像画を描いたこの時代、レンブラントは特にその才能に長けていた。注文主の隠された一面を暴き出し、訴訟騒ぎを起こしたこともあった。レンブラントはまず、軍曹のロンバウト・ケンプの身辺に踏み込み、汚らわしい罪の臭いを嗅ぎつける。彼の表の顔は孤児院の院長だったが、裏
では子供たちに売春させ、養女にしたマリッケとマリタの姉妹には自らが虐待を加えていたのだ。ある日、隊長のハッセルブルグが右目を撃たれて死んだという報せが入る。訓練中の事故だと発表され、発砲命令を下した副隊長のエグレモントは逃亡、リッペンダムの領主バニング・コックが次期隊長に就任した。さらにバニング・コックは、同性愛の相手だと噂のあるウィレムを副隊長に任命する。英国のメアリー・スチュアート王女のアムステルダム来訪を控えた今、隊長として護衛の任務にあたれば、栄誉と利益が待っている。一連の動きに陰謀を感じたレンブラントは心を決める。市民を守るどころか、金と欲望のためには殺人も恐れず、弱者を踏み台にする権力者たちを許すわけにはいかない。世の中のために自分にできることは、絵筆で彼らの罪を“告発”することだ──創作意欲に満ち溢れたレンブラントは、まさかそれが転落の第1歩だとは思いもしなかった。
破滅への道〜殺人事件の真相・妻の死・肖像画完成〜
殺人事件の真相を究明しなければ、この絵は完成できない。もはやレンブラントは画家であり、探偵だった。どうやら訓練をサボって酒を飲んでいたエグレモントは、責任を押し付けられたらしい。発砲命令を下したのは、誰なのか? 発砲したのは隊員ではなく射撃練習に来ていたホラティオで、彼はケンプの孤児院にいる少年だった。マリタと愛し合っていて、怒ったケンプがマリタに熱湯をかけて二目と見られぬ顔にしたという、訳ありの少年だ。調べれば調べるほど、市警団はスキャンダルの宝庫だった。
絵がほぼ仕上がったと聞いたサスキアは、「これで死ねるわ」と呟く。彼女は自分の命は長くないと知っていた。レンブラントは、陰謀と不正を随所に巧妙に描き込んでいたが、殺人事件の真相を描くためには、どうしてもエグレモントのスケッチが必要だった。エグレモントを探し出したレンブラントは、彼の口から“真実”を聞く……。
たどり着いた真相に浮き立つレンブラントを待っていたのは、サスキアの死だった。「俺を置いていくのか、今すぐ戻って来い!」妻が死んで初めて深い愛に気づいたレンブラントは、涙にかきくれる。無断で肖像画を見た伯父のヘンドリックが、葬儀の席でレンブラントに警告する。「あの絵はおまえに災難をもたらす。破って描き直せ」その予言が当たるとも知らず、レンブラントは肖像画を完成させる……。
闇の中で見つけた愛〜残忍な復讐・堕落・初めての純愛〜
完成した肖像画を見た市警団は、レンブラントに罵声を浴びせかける。一介の粉轢きの息子が、画家になって富を得たからといって、何様のつもりか。しかし、謀議の結果、ストレートな怒りはしまわれ、彼らはもっと陰湿で残忍で長期的な復讐を決意する。「生活の糧を絶て」「事故で目を潰せ」「破産だ」「恥をさらして失脚させろ」──手始めは、セックス・スキャンダルによる信頼の失墜だ。市警団の愛人でレンブラントの家政婦ヘールチェ(ジョディ・メイ)がまるめこまれ、レンブラントを誘惑する。ヘールチェの肉体に溺れている間は、サスキアを亡くした悲しみを忘れられると知ったレンブラントは、あっけなく魔の手に堕ちるのだった。
目を覚ますきっかけをくれたのは、マリッケだった。ケンプの仕打ちに耐えかねて、レンブラントの目の前で飛び降り自殺してしまったのだ。ヘールチェを追い出したレンブラントが人生を見つめ直したとき、ずっと自分に敬意を抱いてくれた存在に気づく。少女の時から家政婦として側にいたヘンドリッケ(エミリー・ホームズ)だ。彼女の純粋さが、レンブラントの傷ついた心にしみわたり、2人は恋におちた。正義を貫いたレンブラントは富と名声の代わりに、真実の愛を得たのだ。レンブラントは、もう闇を恐れない。1本のキャンドルのように輝くこの愛があるから……。 |
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